肺がんは男女比が3対1と男性に多いがんですが、脯がんと一囗でいっても実はいろいろ

な糖類のがんがあります。それらは顕微鏡で目mたがん細胞の形態で腺がん、羂平上皮がん、

小細胞がん、人細胞がんの4種類に人別されます。

 扁平匚皮がんは喫煙と関連の深いがんで、圧倒的に男性に多く、脯がんの約25%を占めま

す。後の項で述べる脯門部肺がんの代人的なものですが、肺野に発生することも多く扁平上

皮がんの60%は木梢発生です。発生したその場所で発行する性格が比較的強く、転移の量が

遅く、完全に切除できると治癒の可能性が高いがんです。また放射線も有効ながんです。

 腺がんは肺の末梢に発牛するがんの代表的なもので、女性でも珍しくなくかかるがんです。

肺がんの55%と多くを占め、しかも近年ヽ』のがんの増加が咎しく間題となっています。扁平

辷皮がんにおける喫煙のような、はっきりした原因のわかっていないがんで、比較的小さな

うちからリンパ節(体を異物から守る働きをするリンパという体液が流れるリンパ管の途中

にいくつもある関所のようなもの)などに転移をおこしやすいのが困りものです。また末侑

発生のがんのため、肺を包んでいる胸膜に近い場所に発牛しやすく、比較的小さなうちがら

胸膜まで浸潤し、そこから㈲膜播種(胸膜の上にがん細胞がパラパラこばれ落ち、種をまい

たように転移を形成すること)という転移をおこし、がん性胸膜炎という手術では治せない

進行した状態になりやすいのも困りものです。(第7章参照)

 小細胞がんは、発育が早く、小さなうちから転移をおこしやすいがんとして有幺‥ですが、

幸い肺がんの10%強を占めるにすぎません。発育がyいために、発に九されたときには寸でに

進行していることが多く、治療法として手術が考慮されることは少ないがんです。肺門部に

できやすく、喫煙との関連もあり男性に多いがんです。抗がん剤が非常に有効なことが治療

上の特徴で、この点て他の肺がんとは治療匚の対応が異なります。

 大細胞がんは肺がんの約7%を占めますが、発育が比較的早いという以外あまりはっきり

した特徴はありません。

 この4糖類以外にも肺がんはありますが、特殊な稀ながんということになります。

 肺がんの兆候としては、原発巣(最初に発生した部分で増殖しているがんの病巣)による

症状と、転移による症状に分けて述べる必要があります。

 まず原発巣による症状としては、肺がんが肺のどの部分に発生したかで症状が異なります。

すなわち、肺門と呼ばれる肺の中心部近くの大い気管支に発生するがん(肺門部肺がんまた

は中心型肺がん)と、肺野と呼ばれる肺の末梢に発生するがん(肺野部肺がんまたは末梢型

肺がん)の2つに分けて考えると理解がしやすいのです(75べIジの図参照)。

 前者の肺門部肺がんは早い時期から咳、痰などの気管支の刺激症状や、がんの組織がくす

れるための血痰などの症状が出ます。この肺門部肺がんの代表的なものは扁胼十匚皮がんで、

圧倒的に男性に多く、喫煙者のがんです。ごく早期のうちにはレントゲン検査では発見でき

ないのが特徴です。もう少し進行すると気管支の内側を狭くする上うになり、そのため気管

支の浄化作用が障害され、閉塞性肺炎と呼ばれる肺炎を起こします。この時は咳のはかに、

発熱、時に胸痛などの症状が出ます。さらに進行するとがんが気管支を閉塞してしまい、閉

塞した気管支の領域の肺に空気が入らなくなる征一気肺という状態になり、その範囲が広いと

呼吸が苦しくなります。

 一方、肺野部肺がんの特徴は、熨期のうちには自覚症状がないのが特徴で、胸部X線写真

をとる以外に発見の方法のないことです。この代表的なものは腺がんで女性にも多い肺がん

です。

 末梢の肺がんが進行して、周囲の臓器に浸潤すると、そのための症状が出ます。たとえぼ

肋骨や脊椎に浸潤するとその部分の強い痛みか生じます。

 次に転移による症状を述べます。詳しくは第7章「転移臓肛別の治療の令て」を参照しア

トさい。

 胸膜に進展して、がん性胸膜炎になると胸痛や咳などの症状が出ます。さらに進行して胸

水が多量に溜まると呼吸困難を起こします。

 骨に転移するとその部分の強い痛みが出たり、ひどくなるとその部分で骨折してしまいま

す。