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倍 液(予製液)
倍液は医薬品を精製水に溶解し,ろ過して製する.一般に濃厚溶液であるから保存剤は必ずしも必要ではないが,調剤に際しては目的に応じて希釈して用いるので腐敗,変質,その他の変化を考慮しなければならない.医薬品によっては滅菌,防腐または安定化の処置を要する.
(1)名称および表示
名,称は薬品名何倍液,何%一薬品名液または薬品名液(mL in mL), (gm mL)とする.
[例]ヨウ化カリウム1gを精製水に溶解して10mLとした液は10%ヨウ化カリウム液,またはヨウ化カリウム液(1 g in 10 mL)またはヨウ化カリウム10倍液と表示する.
(2)常備して便利なもの(g, mLの単位は省略する)
希塩酸液(1 1n 10)
硫酸マグネシウム液(1 in 2 )
サッカリンナトリウム液(1 1n 500)
安息香酸ナトリウムカフェイン液(1 1n 10)
サリチル酸ナトリウム液(1 in 5 ) (着色のおそれがある.チオ硫酸ナ
トリウムを0.04%の程度に加えるとよい.)(しや光びん)
炭酸水素ナトリウム液(1 1n 20) (分解のおそれがあるので長期保存を
避ける.)
ヨウ化カリウム液(1 1n 10) (水道水により着色,チオ硫酸ナトリウム
を0.04%の程度に加えるとよい.)(しや光びん)
硫酸アトロピン液(1 1n 1000)
保存剤
内用液剤の投与期間は通常4日以内とし, 20°Cを超える気温では,2日分以上の交付に際し変質を避けるために適当な保存剤を加える.通常,内用液剤に使用される保存剤の種類および使用量は表1のとおりであり,液性および製剤の種類により適宜選択する.
一般に保存剤は原液を予製し,液剤の調剤を行った最後に加える.