肺がんの手術後で一番間題となるのは、痰がうまく出せるかどうかという点です。肺の手

術に限らず手術のあとは痰が増加するものです。とくに手術直前まで煙听を吸っていた人は手術後の痰が多く、そのために辛い思いをします。手術後の痛みのためにうまく痰を出せな

いと、肺炎や無気肺という重大な余病の原因となりやすいのです。‥}‥十くから厳重に禁煙する

ことや、手術後に頑張って咳をして痰を出すのは本人の努力が必要です。全てを医師や看護

婦に仟せればよいというのは間違いで、順調に㈲復するために自分ち努力するという明確な

意思が必要です。

[肺門部肺がんに対する縮小手術]

 手術の方法の項で述べた気管支形成術が相当します。片方の肺全部を切除する肺摘除術に

かわり、気管支形成術によって肺葉切除と同等の肺機能の犠牲で済むこの手術は、がんがこ

の手術で根治的に切除できる範囲に小」まってさえいれば、いまでは呼吸器外料医にとっては

常識といえる選択です。

【肺野部肺がんに対する温存手術】

 肺葉切除にがわり区域切除や部分切除で済ませる縮小手術は小さな末梢発牛の肺がんに対

して考えられます。がんが剣病巣にのみ限局していることがはっきりしていれば、手術の負

袒も少なく量い方法ですが、現実には毟病巣周囲の微小転移やリンパ節転移の取り残しの危

険性があります。直径15叩以下の肺がんといえば相当小さな肺がんなのですが、癌研究会附

属病院のデータでも約10%にリンパ節転移があります。このような転移の危険のないがんで

あることを、手術前ないし手術中に正確に判断することはまだ困難です。したがって肺機能

的に標準手術が危険でないときには、原則として惶準子術を受けるべきです。