肝臓がんは肝硬変や肝炎などの慢性肝障害を基礎に允生してくることが多いため、これら

慢性肝障害の症状が前面に出てくることがしばしばあります。肝臓がんが新しくできてきたり、大きくなってきたりすると、肝機能が急に悪化したり、腹水が増えたり食道静脈瘤がひ

どくなることがよくあります。さらに、がんが大きくなって卜腹部が腫れてきたり、おなが

の卜からしこりが触れることもあります。

 しがし、肝臓は「沈黙の臓器」と旨われるように、症状は令くなく、健康診断で肝機能障

害を指摘されて、詳しく調べてみたところ肝臓がんが発目九される方や、肝臓がんが発生しや

すい(イリスクのみに対して行われる定期的な血液検査や腹部超音波検査で発兒される方が

増えています。

 肝臓がんの手術前の検査は

一どのようなことをするのですか?

 肝臓がんに対する治療はいろいろありますので、肝臓がん白体の検査ばかりでなく、どの

位の治療なら耐えられるかということまで含めた検在をします。まず第一に、肝臓がんその

ものの検査として、本当にそれががんであるのか、肝臓のどこにどれくらいの大きさのがん

がいくつあるのが、などを調べる検査です。次は肝臓の機能を評価し、肝臓がどこまでその

治療に耐えられるかを調べる検査です。‥取後は特に干術的な治療の場合ですが、肝峺変に伴

う食道静脈瘤はないか、あるいは心臓や肺、腎臓など重唆な臓器が手術などの治療に耐えら

れるかという令身状態の検査です。これらの検査はお互いに関連していますので、並行して

行われるのが普通です。

 肝臓のがん自体の検査には、画像診断と血液の腫瘍マーカーの測定(第6章「願倡マーカ

1の見方について教えてください」参照)があります。画像診断と呼ばれるものは、肝臓の

どこの部分にどれくらいの大きさのがんがいくつできているが、それが本当にがんであるか

を調べる検査です。超音波検査やコンピュータ断層搬影(CT)や、磁気断切撮影(MR

I)、さらには血管造影(アンギオグラフィー)などがあります。

 超音波検査は、体の表面にゼリーを塗り、プローベと呼ばれる器具をいろいろな方向から

あてて肝臓のすみずみまで見る検査です。超音波検杏は小さな肝臓がんの発見率が最も高く

手術のとき重要となる肝臓の中の血管との関係もよくわかります。レントゲンなどを用いな

いため反復して施行できるので、一般の健康診断などでも普及している検査です。最近は機

械自体の進歩で、小さな腫槝の診断率を高めています。