IQと言葉を直接関連付ける

 

言葉の心理学は、言語的構成要素と心理的メカニズムとの間の、質的、量的関係、ないしは相関関係の証明のみにとどまるものではない。相関関係は、研究者に僅かなものしかもたらさない。というのは、それはおよその程度を測定させ、ニ、三の現象系列を結びつける関係の重要さを評価させるだけであって、だからといって、この関係の意味を教えはしないのである。現象の共変動の研究に組み込まれた分野においても事情は同じであり、そこでは、研究者たちは、因果関係を推論することに大部分の時間を費やしている。多くの心理学者は、IQ(知能指数)という用語で評価される被験者の知的活動と、それら被験者の言語算出との関係を明らかにしようとした。この件については、2つのことが指摘されている。まず第一に、それは、IQがどの程度被験者の知能の十分な近似値になりうるかということである。問題は、被験者のIQを知ることが、はたして、その人間が具体的な仕事において動員する知的メカニズムの実情を、正確に知ることよりも興味深いかどうかということである。知能の計量的な概念においては、収集されたデータは、心理的実在を根源とするのか、それとも統計的な人為構造を表すのか。とくに研究が言語利用に関わっているとき、獲得された測定が、知能ではなく、知的可能性のおおよその程度をしめすと考えるのでなければ、できうるかぎり、知能の朝敵、配分的、記述的分析を避けて、知的活動の質的、力動的分析を行うようにするべきである。第二の私的は次のことを強調している。IQと言葉を直接関連付けるとすれば、それは、最初に知能と言葉が自立したものとして検討されたとみなしうるということである。つまり、このことは、言葉を孤立的行為ではなく、意図行為とみなすことになる。こうした見地において初めて、言語利用が、個々の操作クラスを活動させる。段階的プロセスの全体を要請するという事実、そして、言語能力は認知活動の外には存在しないという事実に導入うされうるのである。後には、言語学的モデルと行動のある種の理論との関係が、どのようなものであるかを知ることが残されている。