錠剤交付時の注意事項

 

 

(1)錠剤の特殊な用法の説明

 

 先に述べたような特殊な錠剤(バッカル錠,舌下錠など)の服薬方法を患者に十分説明することはノンコンプライアンスの改善につながる.特にバッカル錠などについては図入りの服薬指導票を利用することが好ましい.

 

(2)特殊錠剤の説明

 

 持続性錠剤など特殊な製剤設計が施されている錠剤についても,口頭でその製剤の設計意義を説明することによって,正しい薬物療法を理解させることが重要である.この場合薬剤師はむずかしい言葉や寺門用語を使わないよう気をつける.

 

(3)錠剤の分割

 

 調剤上,錠剤を分割することは,医薬品の含量が正確である製剤特性を失うことであり,安易に行うことは避けるべきであるが,割線のある素錠で,分割誤差の小さい方法は割線を上にして錠剤の両端を下方へ力を入れて分割する方法である.

 

(4)幼小児への錠剤投与

 

 小児の誤用を避けるために理解力のある保護者に正しく服用させることを指導しなければならない.幼小児の錠剤の嚥下能力は個人差が大きい.先に述べたように一般的には乳幼児へのカプセル剤・錠剤一丸剤の投与は避けるべきであるが,やむをえない場合は保護者に十分注意を与える.

 

(5)PTPの誤嚥(飲)

 

 錠剤をPTPの中からとり出さないでそのまま服用したり,また空の包装をそのまま誤って飲み,食道や気道異物とする例は小児より大人に多く,包装形態への無知が原因する場合は少ない.誤嚥(飲)の原因は,くすりを飲む習慣の慣れからくる注意力の減退による場合が多いことに留意して服薬指導をしなければならない.包装の誤飲も医薬品の有害事象として数えられる.

 

 服薬指導のあり方としては,これら薬剤の用法の説明を十方的に行うのではなく,できれば患者の生活パターンに合わせた説明が好ましい.