身体の不調

 

 気分が沈むと、身体にも色々な不調が出てくる。自然なこととしてうなずけるような気もするが、これも、そういう日常感覚からの類推が本当にあてはまるかどうかはわからない。

 

 うつ病の人は、免疫能が落ちていることが最近明らかになっている。免疫とは言うまでもなく、外部からの有害物質と戦うために備わった身体の機能である。たとえば細菌の感染と戦うのは白血球だが、その巾にあるインターロイキンという物質が免疫の主役のひとつである。うつ病ではこのインターロイキンの機能異常が起こっている。インターロイキンは、免疫機能がない原始的な牛物にもある。そういう生物では、インターロイキンは神経伝達を調整する役割を持っていることがわかっている。ということは、免疫系は進化のプロセスのうちに神経系から分化発達したもので、元々は免疫と神経は同じものだったのである。脳の神経系の病気であるうつ病で免疫能が落ち、身体の不調が起きるのは、進化の名残であるとも考えられるのである。

擬態うつ病林公一著より