2014-10-27から1日間の記事一覧

快の感情

正常な反応だろうが病気だろうが、気分の落ち込みはつらいものである。人間は、つらい状態からつらくない快適な状態への変化を常に求める。不快な状態から快の状態へ。人間の行動の基本にある原則である。フロイトはこれを快感原則と呼んだ。不安や恐怖とい…

うつ病の情報はわかりやすい

広まりやすい情報のもうひとつの条件は、因果関係が理解しやすいということである。理解できない情報は逆に無視される。新聞に出るような大事件は、原因としてたくさんの要素がからみ合っていることが大部分で、因果関係はそう簡単にわかるものではない。そ…

うつ病の情報は好まれる

医療について、好まれる情報というのは、治るという情報である。ただ治るというだけではない。見過ごすと大変だが、気づきさえすれば治すことができるという情報がいちばん好まれる。確かにこれは情報としての価値がある。頭痛、腹痛などのありふれた症状の…

うつ病の原因:社会

「情報」が現代社会の特徴であることを否定する人はいないだろう。地球全体に通信やインターネットの網がかかり、あらゆる情報が短時間で得られるようになった。情報は、現代社会の地球レベルのキーワードである。情報システムにのったものは何であれ増殖し…

自称うつ病と自己愛

症状があって病院を受診し、心配ないと診断された場合、患者の反応は大きく二種類に分けることができる。ああよかったと思うか、そんなはずはないと思うか、の二種類である。さっきのメールの人は後者である。精神科ではこういう人が増えているように思う。…

納得される病名・納得されない病名

精神科の病名には、2種類ある。納得されやすい病名と、納得されにくい病名である。納得されにくいのはイメージの悪い病名である。納得されやすいのは、自覚症状と一致している病名や、因果関係が理解しやすい病名である。 たとえば、人が怖いという自覚症状…

本物と擬態の違い

最後は直観で診断するということは、裏を返せば、うつ病でなくてもうつ病に似た症状が出ることはよくあるということである。ホルモンの異常や、膠原病と呼ばれるまれな病気、認知症の始まりや統合失調症でも、また、その他の脳の病気でも、うつ病にかなりよ…

自殺を考える

うつ病で最も重大な症状は、言うまでもなく自殺である。うつ病の人の自殺率は普通の人の数十倍である。うつ病の人の自殺は治療すれば必ず防げると言われる。しかし残念ながら必ずとは言えない。治療すれば自殺の確率を著しく下げることはできる。それでもゼ…

身体の不調

気分が沈むと、身体にも色々な不調が出てくる。自然なこととしてうなずけるような気もするが、これも、そういう日常感覚からの類推が本当にあてはまるかどうかはわからない。 うつ病の人は、免疫能が落ちていることが最近明らかになっている。免疫とは言うま…

眠れない、食べられない

気持ちが落ち込んだら誰でも眠れなくなる、食欲がなくなる。共感できる症状かもしれない。しかし、うつ病の症状としての不眠や食欲低下がそれと同類のものかどうかはわからない。特に睡眠については、うつ病に特有な症状として早朝覚醒というものがある。寝…

意欲がない

何をする気も起こらない。この症状が、先にあげたような何も楽しくないという気持ち、悲観的な気持ちの結果として生まれているのか、それともそれとは関係なく意欲がないという症状が発生しているのかは、なかなか難しいところである。何も楽しくないから意…

何も楽しくない、何も感じない

楽しくないことは誰にでも、いつでも、あることである。うつ病では「何も」楽しくない、というのがポイントとなる症状である。文字通り「何も」楽しくない。だから、趣味に目を向けさせてもダメなのである。こういう症状があるということを認識することは、…

うつ病の症状

うつ病は脳の病気、シナプスの神経伝達物質の病気である。そこからのさらに詳しい脳の分析は、これからの課題である。メカニズムについては、わからないことがまだまだたくさんある。ただし、うつ病の症状がどういうものかということは、はっきりとわかって…