うつ病の原因:社会

 

 「情報」が現代社会の特徴であることを否定する人はいないだろう。地球全体に通信やインターネットの網がかかり、あらゆる情報が短時間で得られるようになった。情報は、現代社会の地球レベルのキーワードである。情報システムにのったものは何であれ増殖していく。

 

 中でも日本では、健康に関心を持つ人が増え、医療情報の需要が高まっている。新聞で、インターネットで、本で、ロコミで、膨大な医療情報が毎日流され消費されている。

 

 情報には正しいものも誤ったものもある。情報の広がりやすさを決めるのは、正しいか誤っているかということではない。広く知られている情報、たくさんの人が言っている情報が正しいとつい思ってしまいがちだが、そうとは限らない。どの新聞にも同じことが書いてあるということが、正しさの裏づけにはならない。新聞に書いてあることが正しいかどうかを確認するために、たくさん新聞を買っても無意味である。

 

 新聞に限らないが、広まりやすい情報の条件のひとつは、好まれる情報であるということである。もうひとつの条件は、わかりやすい情報であるということである。うつ病についての情報は、この二つを両方とも満たしている。このことが擬態うつ病の増殖因子にもなっている。

擬態うつ病林公一著より