心理言語学

言語学的モデルから引き出された行動に関する仮説は、言語能力の心理的実在を説明するには極めて不十分だということである。とは言うものの、行われた研究には進展が見られる。第一段階では、研究者は統辞論的面に閉じ込められていたが、第段階では言語運用を説明するために、意味論的面や文脈効果のような他の変数を検討する方向へ向かっている。明らかにこうした変数は被験者の外部にあり、それらにより統辞論的構文の仕上げに関わった、内在する精神的メカニズムを推論することは不可能である。従って、文の記憶や知覚に関する研究は、いわゆる記憶や知覚活動について教えるよりも、はるかに言語組織について我々に教えるという結果を招くのである。

 

言語学的モデルの心理的実在を説明しようとするこうした試みは、言語学と心理言語学との間のある種の依存関係、言語学の優位性を特徴とする依存関係を創りだした。この視野においては、言語運用の分析が理想的条件のもとに行われる。ところで、自発的な言説は、文の意義は変えないままに、統辞論上の不規則性をあらわすが、この不規則性は、言語学的モデルによっては説明し得ないものなのである。ここで自発的言説に関わる全てであった、それは言語の知識と使用との間のある種の自立性を表している。多くの実験的研究は、言語をそれ自体において考察し、言説を切り離された対象として考察することにより、ある程度まで言語運用の研究を行うことができた。こうした意図においては、被験者は存在せず、それは理論上のものであり、行動科学の研究者にとっては、それはおどろくべきことである。こうのような企図は、心理言語学を方法論の総体と見なすことになり、それは、あらゆる特殊な問題を書き、抽象理論を立証することを目的とするでしょう。しかしながら、心理言語学の目標は、言語運用モデルの構築であり、そのモデルは、文の算出及び理解において、現実の被験者が展開する有効な知的操作を解明するに足る、十分に柔軟あモデルでなければならず、それは認知活動についての研究の枠内に記載されるべきものであろう。